看護師の職場環境にも地域差がある

地域の病院も歴史のあるところが多く、代々経営基盤がしっかりしているところも少なくありません。そのため、看護師として勤務すると、非常に信頼され、辞めるまで勤める看護師が多く存在します。

やはり気候病ともいわれる呼吸器系疾患や内部疾患などの患者へのケアです。

東北地方の病院は、各県に1つずつある大学病院が核となって、周辺の総合病院や専門病院に派遣されて行きます。一方、看護師の多くは仙台市山形市福島市といった県庁のある大都市から、市町村にある看護学校の卒業生など、全域から集まってきています。

ここ数年の統計では、岩手、宮城、福島の3県では震災の影響があり、病院自体の閉鎖や、休診が続く科目などが発生し、医師も看護師も求人そのものがなくなっているケースが少なくありません。そのため、内陸にある中核病院が地域医療の拠点として移っており、看護師の求人も内陸の病院に移動しています。

東北地方は、国道の整備が遅れていることもあり(片道1車線)、通勤時間がかかる、という事情があります。もちろん、内陸部や日本海側の山形、秋田、青森などでは、病院と自宅との距離が離れていても、自家用車で通勤する看護師は少なくありません。

宮城県の例でいえば、仙台市東北大学医学部病院をはじめ、公済病院、鉄道病院など主要な総合病院がありますが、病床数が500を超える病院は僅かです。町の発展が遅れていたこともあり、ここ10年ほどで主要な道路整備や鉄道の用地売却などが急ピッチで行われ、病院の移設や規模拡大が進みました。

東北の主要医療機関は東北各地から、仙台に集まってきています。山形や岩手、福島からも通勤する医師や看護師は少なくなく、その理由として、主要都市以外での通勤は平均で1時間。つまり、どこに住んでいても片道1時間はかかるという事情があります。(余程都市部に住んでいるか、田舎のクリニック近くに住んでいる場合は違いますが)

震災の影響もありますが、東北ではおおむね医師と看護師は不足しています。また、大学病院が地域医療の頂点にあり、執刀介助を行う看護師は都市部の一部の病院に限られます。病棟看護師が圧倒的に多いのも東北の特徴であり、あるいは小規模クリニックの臨床看護師が続くのです。

東北地方で求められているのは、やはり気候病ともいわれる呼吸器系疾患や内部疾患などの患者へのケアです。また、高齢化が急速に進んでいることから、農村部では、訪問看護の需要が増して来ています。割と人の往来が少なかった地域が多いため、様々な疾患を抱えた高齢者が潜在的に増えており、市町村が健康管理を行う体制が遅れています。これからは、地域医療に携わる医師と看護師がますます不足していきます。ですから、スペシャリスト看護師よりも、ジェネラリスト看護師により求人が集まって来ることになるでしょう。